~ 岡山の山奥の酒蔵の挑戦 ~
お酒は“日本酒かビール”の時代を経て、今やアルコールドリンクは多様化し魅力的な商品が溢れています。
ところが日本酒の消費が長年減少の一途をたどり、「若者の日本酒離れ」と言われてからも長い時間が経っています。
そんな時代に日本酒の国内シェアは減少を続け今や7%を下回っているという現実があります。
白菊酒造の渡辺秀造社長は、「次の時代を担う若い方々に対して日本酒、酒蔵の情報をしっかりと発信してこなかった
我々の責任」と語ります。
あわゆる情報が溢れ、酒も食もめまぐるしく変化する時代。その中に居る若者たちの
飲酒スタイル、ライフスタイルに合う、日本酒らしさを失わない日本酒を届けたい。
渡辺のそんな想いを託した、岡山の山奥の酒蔵の挑戦は、2021年春にスタートしました。
日本酒を、もっと気軽に、
もっと自由に。
日本酒の全国出荷量は1973年(昭和48年)176万6000キロリットルをピークに、
下降の一途をたどり、2020年(令和2年)には41万4000キロリットルと、実に76.6%減、4分の1以下になっており
人口減、飲酒人口の高年齢化、特に若年層の日本酒離れは顕著である。
とある調査では日本酒に絞って飲酒頻度を見てみると、20〜30代(若年層)の70%・全世代の女性の74%は、1年以内に
日本酒を飲酒していないことがわかりました。更に、「今まで一度も飲んだことがない」という回答が若年層・女性ともに
40%を超えており、「日本酒を飲む」事に対して興味を持ってもらえていない現状です。
さらに2020年には未知なる新型ウイルスが世界中で猛威を振るい、その影響から外食産業の衰退が顕著となり消費の
ボリュームゾーンを失った酒造メーカーの経営を直撃しました。
こういったお酒の消費環境の激変やアルコール飲料離れなど逆風の中、「何かしら手を打たなければ、
日本酒は本当に消滅してしまうのでは」との危機感が渡辺の脳裏によぎっていました。
若者たちが何故日本酒から離れていったのか?
渡辺はまず地元である岡山県において日本酒に対する意識調査等を
県内に在住する百数十名の若年層の男女に対して行った。
また、国内におけるアルコール消費動向の推移を重ね合せ、いくつかの理由を見出した。
■昭和50年代以降のビールの台頭や
多品種のお酒が市場に台頭
:飲みたいと思うほかの酒が増えた
■「日本酒は悪酔いする」というイメージ
:飲み会で無理やり飲まされ二日酔いに
:日本酒はおじさんが飲む酒
■「日本酒を飲むと太る」というイメージ
:日本酒は糖分が多いので太るという概念
■種類が多くその説明も分かりにくいので選べない
:好みの味がわからない、種類が多くて選べない
:アルコール分が高めなのであまり酔いたくない。
渡辺は日本酒のこういった「難しさ」が、若者たちの日本酒離れの要因と考えた。
そうだ!ソーダで割ろう。
開発を進める為、若者たちを中心としたチームを作りミーティングや試飲会を幾度も重ねる内、
開発チームのある若い女性から「普段から日本酒を炭酸で割って飲んでいる。飲みやすくて
美味しい。」の一言が方向を決定付けた。
日本酒は“冷かお燗”のイメージがあまりにも強すぎて、今最も飲まれている炭酸系アルコール飲料
の「一杯目から飲める爽快感」が無い。日本酒を知って頂く為にも「もっと気軽に自由に」飲めるもの
をベースに考えていくべきと決まり、さっそく試作品の検討に入った。
2021年夏から秋にかけて、開発サンプルによる試飲を幾度か行い、
炭酸ガス入りのタイプではなく、ユーザーが好みの濃さで自由に割って飲める、新しい飲用スタイル。
ソーダで割っても、日本酒らしさを失わない、また日本酒らしい香味が楽しめる日本酒。
こうして11月には商品スペックなど概要が決定し白菊酒造の三宅杜氏が試験醸造に腕を振るう事となった。
2021年冬から2022年春にかけて製品化に向けた前段の試験醸造が行われると同時に、
取り組みへの支援を募るクラウドファンディングを行い、全国の多くの方々から支援を頂けることが出来た。
試験醸造を経て酒質の見直しや酵母の選定など改良を重ね、2022年5月には本製品の上槽を終え、
ソーダで割った状態でベストバランスのお酒が出来上がり発売を迎える準備は整った。
発売前9月22日に行われた新製品発表会には岡山県内マスコミ各社が訪れ、多くにメディアに取り上げられた。
そして2022年10月1日(日本酒の日)に、
ソーダで割る。だから、美味しい。
をキャッチフレーズに炭酸割専用日本酒「&Soda」はデビューを果たした。
岡山特産米と2つに酵母で、
「割って飲む日本酒」を実現
■ 独自のキレと飲みやすさを叶える、岡山県特産米「朝日」
「& Soda」で使用している米には、岡山県内で食用米として親しまれてきた県の特産米「朝日」を使用。
「朝日」は、岡山で育種された奨励品種で、今多く流通しているコシヒカリやあきたこまちなどの祖先に
なります。大粒で、甘さ控えめ、粘りはあまり強くなくさらりとした食味のこの米を使うことで、日本酒
としてメリハリのある味わいと飲みやすさを実現しました。
■ 2つの酵母で、甘味と酸味のバランス良い吟醸原酒に。
割って飲む為の酒質設計で作られた「& Soda」です。
冷たくして飲んだ時のリンゴ酸のさわやかさを
感じさせる酵母と、さらに吟醸の香りが引き立つ酵母を用いてそれぞれ別仕込みをしました。この二つの
原酒を絶妙にブレンドしソーダで割って味わいが崩れることがなく、日本酒本来の繊細な甘味と香りのある
酒質を実現しました。お米は岡山の特産米朝日米を使用し60%まで磨き上げております。
岡山特産米と2つに酵母で、
「割って飲む日本酒」を実現
日本酒といえば、そのままの味わいを楽しむもの。
そう考えるのが、フツーですよね。
でも、本当にそうでしょうか?
もっと気軽に、もっと自由に楽しめる
日本酒であっていいんじゃないか。
“そうだ!ソーダで割ろう”
そんな想いから誕生したのが、
ソーダで割って飲む日本酒「&Soda」です。
「&Soda」を楽しんで頂ければ何よりの歓びです。
さらにこの「&Soda」で「日本酒って意外と自由で気軽で
美味しいんだな」と感じて頂き、日本酒自体に興味を
持って頂くことが「&SODA」に込めた思いなのです。
このお酒をスタートラインに素晴らしい日本酒の世界に
ぜひ飛び込んで頂きたい。
白菊酒造は、岡山県の中西部、高梁市成羽町に位置する
山奥の酒蔵ですが、岡山の地酒蔵として、地の米、水、技の
三位一体の造りで醸した日本酒こそ本来の地酒の姿と
とらえ、お米は全量岡山県産を使用し、仕込水は県内を流れる
3大河川の高梁川水系成羽川の恩恵を受けた伏流水、そして
100年以上続く歴史と伝統の備中杜氏の技術といった
最良の環境の下で良き風土、自然を映した日本酒を醸しつづけます。
白菊酒造はこれからも岡山の豊穣なる恵みを醸し、
美味しく楽しい日本酒を皆様にお届けして参ります。
白菊酒造株式会社 代表取締役 渡辺秀造